2027年初旬に「報告書」外国人材活用に向け検討始まる

警察庁が警備業の外国人材受け入れを検討 2027年初旬に報告書、人手不足の解消につながるか

警察庁は、警備業への外国人材の受け入れに向けた検討を開始した。
2026年9月には有識者による検討会の初会合が開かれ、外国人材を「特定技能」や「育成就労」の対象に加えることが可能か、受け入れに必要な条件などについて議論が進められている。

検討会では、2026年末に報告書の骨子をまとめ、2027年初旬に最終報告書を取りまとめる予定だ。
人手不足と高齢化が進む警備業界にとって、外国人材の活用が新たな選択肢となる可能性がある。

ただし、現時点では外国人材の受け入れが決定したわけではない。
制度の対象となるかどうかや、受け入れ開始時期などは、今後の検討によって決まる。

警備業界では人手不足と高齢化が深刻化

警備業界では、交通誘導警備や施設警備など、幅広い分野で人材確保が課題となっている。
採用活動を続けても応募が集まらず、現場の配置に苦労する警備会社も少なくない。

警察庁の資料によると、2025年末時点の警備員数は59万6,985人。
このうち60歳以上が占める割合は47.3%に達しており、警備員の高齢化が進んでいる。

また、2026年7月の警備員などの職業における有効求人倍率は6.54倍となった。
求職者1人に対して複数の求人が存在する状況であり、警備会社にとって採用難の解消は重要な経営課題となっている。

こうした背景から、国内の人材確保に加え、外国人材の活用についても具体的な検討が始まった。

外国人材の受け入れに向けて何を検討するのか

今回の検討会では、警備業を「特定技能」や「育成就労」の対象分野に追加できるかどうかを含め、制度設計に関する複数の論点が議論されている。

主な検討事項は次のとおりだ。

  • 受け入れ対象となる業務:施設警備や交通誘導警備など、どの業務を対象にするか
  • 日本語能力の基準:業務上の指示や現場での意思疎通、安全確保に必要な日本語能力をどう設定するか
  • 受け入れに必要な要件:警備業務への適性や欠格事由、公衆の安全に関する懸念にどう対応するか
  • 受け入れ人数の見通し:制度を導入する場合、どの程度の人数を受け入れるか
  • 技能の習得と評価:警備業務に必要な知識・技能をどのように習得させ、評価するか
  • 転籍や待遇の取り扱い:転籍制限の期間や、一定期間を超えて働く場合の待遇改善などをどう設計するか

外国人材を受け入れるだけでなく、警備業務に必要な能力を確保し、継続的に働ける環境を整備できるかが重要な論点となる。

警備業界ではすでに外国人が働いている

現在も、在留資格などの条件を満たした外国人が警備業界で働いている。
2025年末時点では、警備業界で働く外国人は7,270人とされている。

ただし、これは外国人材全体を対象とした数字ではなく、現在認められている在留資格などの条件のもとで就労している人たちだ。

今回の検討は、外国人材の就労機会を単純に広げるという話ではない。
警備業務の特性を踏まえ、必要な日本語能力や技能、適性、安全性をどのように確保するかが問われている。

警備員は、施設の安全管理や交通誘導、雑踏事故の防止など、人の生命や身体、財産を守る役割を担う。
現場での判断や迅速な情報共有が求められるため、採用後の教育体制も欠かせない。

外国人材の受け入れは警備会社の採用を変えるか

仮に警備業が特定技能や育成就労の対象となれば、人材確保に悩む警備会社にとって、新たな採用経路が生まれる可能性がある。

一方で、制度が導入されればすぐに人手不足が解消するとは限らない。
受け入れ企業には、採用活動だけでなく、教育や現場配置、定着支援まで含めた体制づくりが求められると考えられる。

特に、警備会社が事前に考えておきたいのは次の3点だ。

  • 教育体制の整備:警備業法や業務上のルール、安全確保に関する教育を、理解度に応じて実施できるか
  • 現場での意思疎通:緊急時の指示や事故発生時の報告など、正確な情報共有ができる体制を整えられるか
  • 採用後の定着支援:働きやすい職場環境や相談体制を整え、長期的な人材確保につなげられるか

人手不足への対応を急ぐあまり、教育や管理が不十分になれば、現場の安全性やサービス品質に影響するおそれもある。
外国人材の受け入れを検討する場合は、採用人数だけでなく、教育の質や定着率も重要な指標となりそうだ。

2027年初旬の報告書が今後の焦点に

警察庁の検討会では、今後も議論を重ね、2027年初旬に報告書を取りまとめる予定となっている。
報告書では、外国人材を受け入れる場合の制度上の条件や、対象業務、必要な能力などについて方向性が示されるとみられる。

なお、受け入れの可否や具体的な開始時期は、現時点では確定していない。
制度の対象に追加されるかどうかに加え、受け入れ人数、日本語能力の基準、技能評価、転籍に関するルールなどが今後の注目点となる。

警備会社にとっては、制度の正式決定を待つだけでなく、採用後の教育や現場管理の仕組みを見直す機会にもなる。
外国人材の活用が実現する場合に備え、安定した人材確保と警備品質の維持を両立できる体制づくりが求められそうだ。

参考情報

  • 警察庁「警備業への外国人材の受け入れに関する検討会」
    https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/keibigyou/yuushikisya.html
  • 警察庁「警備業」
    https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/keibigyou/
  • 警備タイムズ「警察庁が『有識者会議』 2027年初旬に『報告書』外国人材活用に向け検討始まる」
    https://www.kh-t.jp/post/new-2026-oct-01